久しぶりにソリッドなスウェルがやって来るーって事で、私はヤンバへと下った。ヤンバはバイロンから南へ約2時間弱の距離に位置している。有難いことに長年工事時していた新しいハイウェイが最近完成して今では1時間半ほどで着いてしまう。30分短縮された上にスピード制限が激しく変わる細い道路を走らなくて良いので随分と快適に行ける様になった。ヤンバと言えばアンゴリー。オーストラリア東海岸の中でも有数なトップレベルのレギュラーポイントだ。ヤンバに着くと,ひと足先に友人のしんごさんが1ラウンド終えた所だった。一緒にランチを食べて早速アンゴリーに向かった。波は肩から頭。若干オンショアを食らっているものの、半分リーフに覆われたバンクに砂がしっかり着いているので全く問題ない。良い波だ。しかも3人くらいしか入っていない。我々はすぐに着替えてエントリーした。一本目、頭くらいの波に乗った。アンゴリー独特のパンチーなテイクオフ。ボトムターンをすると先に見えるのはしっかりと貼ったショルダーが広がる。私は長いショルダーの最後まで走りきってこれでもかってくらい腰を落とし、そこから思いっきりカットバックをした。まるでジェットコースターに乗ったかのようなグラビティーと風。気持ち良すぎる。。その後同じ様なファンウェーブを何本も乗った。しんごさんもインサイドよりに入って来るセットを88で早いセクションを何本も走り抜けてた。二人ともたくさん乗った所でアッシャー・ペイシーがピークから物凄いスピードで走り抜けてきて深いボトムターンから猛スピードでトップターン。しっかりとレールがハマったトップターンからは物凄い量のスプレーが弧を描いた。目の前にいた私は痛いほど彼の噴出したスプレーを食らってしまった。するとまた、違うサーファーがトップから物凄いスピードとターンで走り抜けていく。一眼でプロと納得せざるを得ないライディング。ノア・ディーンだ。ノアは私の家の近くに住んでいるので良く会う。ノアはhey keitaと言いながらパドルでこっちに向かってきた。どうやらRAGE クルーも今回のスウェル狙いで一足先に来ていたらしい。私はすぐに海から上がってカメラを構えた。波は徐々に悪くなって来たがたまにくるセットをアッシャーがスタイリッシュなツインフィンで滑走していく。人も増え初めて来るとノアはローカルに気を使って決してガツガツ波を取ろうとはしない。自分に回って来る波のみ狙う。不良ハードコアなイメージのあるノアだがそういう謙虚な姿勢がかっこいい。しばらくするとお待たせしましたと言わんばかりに“彼”がやってきた。ブライス・ヤングだ。 ブライスはあのスーパーレジェンド、ナット・ヤングの息子だ。正真証明のローカルキング。アンゴリーの凸凹岩場をまるで平坦なコンクリートの上を歩くかの様なスピードでエントリーした。ブライスはショートボードからアライア、スケートボード、そしてロングボードまで乗りこなすマルチサーファーだ。ちょっと大袈裟の言い草だが“選ばれし者”とは彼のことだろう。生まれた持った素質、父親からの遺伝、環境、全ての条件が揃った天才サーファーだ。誰よりもアンゴリーの波を知り尽くした天才は今日も華麗なライディングを見せてくれた。 明日はエリス・エリクソンやボー・フォスターもやって来るのでヤンバで一泊する事にした。ヤンバにある灯台には芝生が広がっていて崖の下には美しい海が広がっている。私はそこの芝生にスワッグ(オーストラリア産のテントと融合した寝袋)を敷いて横になった。潮騒を聴きながら満天の星空を眺めた。慣れてしまったがオーストラリア の星空は世界的に見てもかなり綺麗だ。その辺のホテルに泊まるよりも遥かに贅沢。宇宙の波動を感じながら明日の波が良い事を願いつつ、、、ポックリ逝きました。   続く、、

 

Noa Dean

Brice Young

Asher Pacey